遺産分割協議もまとまり、遺産分割協議書の作成も無事終えましたら、各種相続財産の名義変更手続きを行います。 この名義変更手続きを行うことにより、ようやく被相続人の財産についての引き継ぎが完了することになります。

　相続財産それぞれにお手続きを行う窓口が異なりますので、状況に応じて事前にお手続きにあたって用意すべきもの等確認しておかれるとお手続きがよりスムーズに進むものと思われます。 

　ここでは代表的な預貯金と不動産の名義変更についてふれておきます。

　まず、預貯金については、口座番号はそのままに名義を相続人に変更する手続きと、その口座を解約して相続人の口座に入金する手続きの2通りがあります。

　多くの金融機関の場合、その口座のある各支店においてお手続きをしていただけると思いますが、ゆうちょ銀行や一部の金融機関では、「相続事務センター」というように一括して相続にかかる名義変更手続き等行ってみえるケースもありますので、お手続きをされるにあたってはやはり該当する金融機関に事前に確認をされるとよろしいかと思います。

　また、各金融機関によってお手続きにかかる記入用紙はもちろん、必要書類等についても若干異なる場合がありますので、あわせて確認をされるとよろしいかと思います。

　次に不動産の名義変更については、法務局に対して所有権移転登記という手続きを行います。登記は義務ではありませんが、登記しておかないと第三者にその不動産が自分の所有であることを主張することができませんし、後々のお手続きでご自身のお子さんやお孫さんがご苦労されることにもなりかねませんので、お早めにお手続きをしておかれることをお勧めします。

　このようなお手続きに際しては、おおむね共通して被相続人の出生からお亡くなりになられるまでの戸籍やお手続きをされる相続人の戸籍、住民票、印鑑証明書等が必要となりますので、事前にお手続きが終わったら返していただけるものか確認される、あるいは数部余分に取得しておかれるといったご準備をされておかれるとお手続きをスムーズに進めることができると思います。

　一方、一番最初に確認していただいた際に遺言があった場合には、その遺言の記載内容にもよりますが、遺言がなかった場合に比べてよりスムーズにお手続きを進めることができると思われます。

　以上、相続に関する諸手続きについてご説明させていただきましたが、ご覧のとおりひととおりのお手続きを済ませるまでには、かなりのお時間と労力を費やす骨の折れるお仕事であることがお分かりいただけるかと思います。

　また、ご自身が相続と向き合い、事前に対処されておかれることで、遺された方々のトラブルを防ぎ、お手続きにおいてもご苦労をずいぶんと軽減できるということもお分かりいただけるかと思います。

　「遺言」、「相続」について軽視される、あるいはお考えになろうとされない方々がまだまだ非常にたくさんおみえであることが残念でなりません。1人でも多くの方にその重要性に気づいていただき、1件でも多くの円満な相続を迎えていただけることを願ってやみません。

　微力ながらそのお手伝いをさせていただければと思い、日々業務にあたっております。お困りのこと、お悩みのこと等ありましたら、まずはお気軽にご相談ください。ご自身にとって一番よいと思われる方法をご一緒に考えてみませんか。

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